うちのお母さん


私の母親について少し書いてみようと思います。
母は21歳で同じ職場仲間だった父と「出来ちゃった」結婚し兄を産んで、その2年後に私を産みました。
その頃のことを振り返って、彼女は「子供が子供を産んで育ててるみたいだった」って言っています。
現在のわたしは母が兄や自分を産んだ年齢よりも年上になったけれど、自分に母と同じ事が出来るとはとても思えません。
というか、若く精神的に未熟で経済的に豊かでもなかった母に子供を育てることが出来なかったのではないかと思います。
けれど、無理して私たち兄弟を育ててくれたのでしょう。
彼女の無理ややせ我慢から来るその歪みは、父・兄・私の家族にもろに影響しました。
父は母を愛しているのか、それとも性格的に厳しい態度をとれないのか分かりませんが、ずっと母の言いなりでした。
母は怒りに身を任せるタイプというか、自分の怒りをコントロール出来ないようで、機嫌が悪いとヒステリックに怒りをまき散らしました。
怒り始めは口汚い言葉で相手を罵っているのですが、そのうちにテンションがどんどん上がっていって、身の回りにある掃除機のホースや
布団たたきを使って子供を叩くのです。
母は自分でもセーブが効かないのか、叩かれ過ぎて気が遠くなってしばらく動けないこともしょっちゅうありました。
兄は狭い車の車内に押し込められて、画鋲で体中を刺されるということがあったと言っていました。
父は私たちがそんな目にあっている間も見て見ぬ振りでした。
夫婦なので子供の目が届かないところで、もしかすると母に注意をしていたかもしれません。
そうであったと思いたいのです。子供が明らかに過剰な体罰を受けているのに、見て見ぬ振りで全く何も手を下さなかったとは思いたくありません。
でも、そんなことがあったのか無かったのか分かりませんが、母のこんな風な行動は私たち兄弟が中学を卒業し、実家を離れて寮生活を送るようになるまで続きました。

母もつらかったのだと思います。それは分かってるんです。
予想外に早く母親になってしまい、プライドが高い母には外見を取り繕うのに一生懸命だったと思います。
そんな一生懸命さは、兄が近所の本屋さんで万引きをした直後に逃げるように引っ越しをした事からも伝わってきます。
自己顕示欲っていうのかな?完璧な自分でないと他人に見せられない・他人よりも常に優位でありたいって思うんでしょうね。
このあたりの性格は私にもしっかりと受け継がれています。
太った自分は痩せている女の子に負けているような気がしていました。
それでダイエットを始めて、ダイエットがうまくいかなくなると過食・嘔吐を繰り返し無理矢理体重を落として痩せている自分を演出しているのですから。

今も私が実家に帰ると母の口汚い罵りは続いています。
下剤を飲んでいるわたしに「おまえの腹の中は汚いウンコの固まりが入っているんだ。汚い。汚い。」と何度も言います。
でももう何も感じないんです。母の言葉から意識を逸らすというか、ボーっと母を罵っている母を見ています。
それで、「そうかぁ、私の体の中には汚いものがたくさん詰まっているんだなぁ」と思います。
また母に「おまえはタバコを吸っているから、脳味噌がタバコの煙で一杯なんだ」と言われると、「確かにその通りかも知れないなぁ」と思ってしまいます。
よく考えてみればそんなことあるわけないのですが、長年、精神的に母親の支配下にいて良い子を演じてきた自分は素直に母親の言葉を受け入れてしまうのです。

私は大嫌いなのに母に精神的に依存しているのです。
簡単に言うと親離れ出来ていないのでしょうね。
実家を離れたのは14歳の時ですから、割に早かったはずなのに変な話です。
そのとき家を出てからは一度も実家で生活をすることはありませんでした。
ずっと学寮か一人暮らしをしています。
母と暮らすのが怖いからです。母の監視下に常にいるというのは、わたしにとって恐怖でしかありません。
今も母親との距離は上手に取れずにいます。この状態からいつ抜け出せるのか?全く分かりません。

 

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